NRK SESSIONS

今は亡き、オスロの伝説的クラブ、CLUB 7(1963 – 1985)。
ウェブスター・ルイスさん(Webster Lewis)のライヴ音源『Live in Norway』も記憶に新しいところですが、新たなる発掘音源が届きました!

『NRK SESSIONS – FROM THE CLUB 7 SCENE』。
(ちなみに、NRKとは、The Norwegian National Broadcasting Bureauのこと)

70年代初頭に、CLUB 7 に出入りしていたアーティストさんたちが残した即席ユニットでの録音がビッシリ!

中でも、ニューヨークからやってきたアール・ウィルソンさん(Earl Wilson)がリーダーとして参加し、ノルウェー・ジャズをリードしたThe Band No Nameのファンク・ナンバーはスゴすぎる。
捨て曲一切なしのソウル・アフロジャズの名コンピです。

「黒い」。
とにかく、「黒い」んです。
ジャケットのに並ぶ往年の名車とモダンな建築もナイス!

LISTEN!

After Beatles

男女混声デュエットによる、夢のアフター・ビートルズ・ララバイカヴァーアルバム『りんごの子守唄』。

プロデュースはワールド・スタンダードの鈴木惣一朗さん。

ビートルズと鈴木惣一朗さんの組み合わせというだけで背筋がゾクゾクしてしまいますが、参加アーティストもすごいことになっています。

以下、順不同、敬称略。

アン・サリー、細野晴臣、ハナレグミ、原田郁子(クラムボン)、千葉はな(羊毛とおはな)、蔡忠浩(ボノボ)、小池光子(ビューティフル・ハミングバード)、YO-KING、土岐麻子、おおはた雄一、永山マキ、湯川潮音、曽我部恵一、中納良恵(エゴ・ラッピン)、星野源(サケロック)

全13曲。なかでも、M-2の「Oh My Love」(ハナレグミ+原田郁子)、M-5の「Imagine」(YO-KING+土岐麻子)、M-9の「All Things Must Pass」(中納良恵+星野源)あたりが聴きどころでしょうか。

スリーブにつづられた「みんな おやすみ また会う日まで…」のコピーが物語るとおり、ベッドタイムソングにぴったりです。

ビートルズには、もう会えないけれど、夢の中で、ビートルズが教えてくれた( © 吉田拓郎さん)何かをもう一度届けてくれそうなやさしいアルバムです。

Louis Vega

『パーカッション・マッドネス』
ニューヨリカン・ソウルで有名なNo.1プロデューサー、ルイ・ヴェガさん(Louis Vega)のプロジェクト。

エレメンツ・オブ・ライフ・バンドのパーカッショニスト、ルイシート・キンテーロさん(Luisito Quintero)をフィーチャーしたラテン・クラブ・アルバムです。

本格的なラテン曲あり、アフリカっぽいのもあり、女性ヴォーカル、アナーネさんの艶っぽくお洒落でグルーヴィーなラテンボッサ風ハウス曲あり、生演奏4つ打ちラテンジャズ・ハウスでは、後半にかけてどんどん盛り上がっていきます。

この上昇感&躍動感はたまらなくカッコイイ!

また今回の主役ルイシート・キンテーロさんの力強いパーカッションにも心をうたれました。
プロデューサー、ルイ・ヴェガさんの今作のサウンドは、巷の打ち込み混じりのお洒落ハウスでは到底かないません。
これこそ魂のこもった本当に素晴らしい音楽、躍動感!

ルイ・ヴェガさんの前作エレメンツ・オブ・ライフや、ニューヨリカン・ソウルをお持ちの方は当然のことクラブ、ダンス、Latin系に興味をお持ちの方々!

かなりのオススメ作品!

末永く愛聴盤決定です!

Rolf Kuhn

ヨーロビアン・ジャズの金字塔、ロルフ・キューンさん(Rolf Kuhn)がクラリネットでコルトレーンさん(John Coltrane)に挑んだ’64年の名盤『SOLARIUS』がついにCD化されました。

とにかくカッコイイ!

弟ヨアヒム・キューンさん(Joachim Kuhn)を従え、メンバー全員が熱くプレイする一曲一曲すべてが快演です。

松浦俊夫さん(U.F.O.)がラジオでオンエアしたM-1(Minor Impressions)をはじめ、独特の詩情をたたえたモーダル・チューンM-3(Sie gleicht whol einem Resenstock)、M-5(Lady Orsina)は必聴!

あの名著『ハードバップ&モード』にも掲載され、全国ジャズ喫茶必需品でもある一枚です。

強力PUSH!

zo’ loka?

アルゼンチン発、ヴォーカル+ピアノ+チェロの新鋭トリオ、zo’ loka?(ソー・ロカ?)。絶対に聴いたことのない斬新なアレンジによるスタンダード・カヴァー集、『yo nunca te vi』です。

ヴォーカルのビクトリア・ソタリスさん(Victoria Zotalis)の軽やかでリズミカルな歌声と、チェロのフアン・マヌエル・コスタさん(Juan Manuel Costa)の変則的で深いボトムラインに、マルセ ロ・カッツさん(Marcelo Katz)の絶妙なアレンジが絡み、アルバム全体になんとも不思議なハーモニーを生み出しています。

インディーズ・レーベルからのデビュー作にもかかわらず、アルゼンチンの「ローリングストーンズ誌」の最優秀ジャズ・アルバム、ベスト5に選ばれたというのもうなずける充実の内容です。

アルゼンチン音響派のパーカッショニスト、サンディアーゴ・バスケスさん(Santiago Vazques)も大推薦の一枚。

ヴォサノバの名曲「三月の水」も彼らの手にかかれば…。

P.S.
アルバムタイトルの『yo nunca te vi』を英訳すると、『I’ve never seen it』。これを音楽的な視点で置き換えると、『I’ve never heard it』、つまりは「聴いたこともない音楽」となるわけです。

Ella Fitzgerald

俗に、「創造性」のビリー・ホリデイさん(Billie Holiday)、「完璧」のエラ・フィッツジェラルドさん(Ella Fitzgerald)と、なにかと比較される女性ヴォーカルのふたりですが、観客を魅了するという点においては比較することそのものが無意味なほど頂点を極めたふたりであります。

amazon.co.jpで検索すると、ほとんどお目にかかれないランク外のアルバム。
ついつい影に隠れがちな存在ですが、『clap hands, here comes charlie』は、まさに一生モノと呼ぶにふさわしい、価値ある作品であると思います。

エラ・フィッツジェラルドさん絶頂期の61年録音のアルバム。

この時期は、声質、節回しが最高で、実力のあるヴォーカリストはここまですごいのかと思ってしまいます。

M-1の「チュニジアの夜」、ドビュッシーのM-3「夢」、M-4「ステラ」、M-5「ラウンド・ミッドナイト」など、すべてが、名演・名曲。

Oshen

名前も不思議な、とてもユニークなアーティスト、Oshenさんの2nd。

アーシーというかアフリカン(?)なフォーク。

でも、パリとアフリカは決して遠くない、音楽的因果関係にあります。

木管楽器も積極的に使われ、発見の多いアルバムです。

ヴァンサン・セガルさんの風変わりなチェロプレイも聴きどころ。

乾いたこころに、湿度のある韓流の世界が水を注いだように、フレンチ・フォークの涙が、エレクトロニカや音響系で乾いた音楽ファンの身に染みる、そんなアルバムです。

日本人に親しみやすい湿度のあるメロディとハーモニー。

慎ましやかなシャンソンをベースにしつつも、フォーク・カントリーやジャズ、ラテン、音響系を貪欲にオルグするフレンチ・フォークは、いま、もっとも面白いシーンかな(?)。

Marisa Monte

ボサノバ以降のブラジル音楽。意外と耳にされていない方も多いのではないかと思います。かくいう私もそうでした。

MPB(Musica Popular Brasileiraの略、ブラジリアン・ポピュラー・ミュージックの意)の代表格、カエターノ・ヴェローゾさん(Caetano Veloso)やジルベルト・ジルさん(Gilberto Gil)といったところはおさえていたのですが、フィメール・ヴォーカルとなると何処から手をつけていいのやら、と考えあぐねていたところに、あらゆる方面に造詣の深い友人から救いの手が差し伸べられました。

半年ほど前に来日公演も果たしたマリーザ・モンチさん(Marisa Monte)がそのひと。件(くだん)の友人から、いくつかオススメのアルバムを紹介されたのですが、スイマセン、「ジャケ買い」してしまいました(笑)。

女性が手にしたらドン引きしてしまいそうなインパクトたっぷりのアートワーク。かなり私見がはいりますが、こういうテイスト大好きです!

肝心の中身。スタジオ・テイクが7曲、ライヴ・テイクが11曲、むちゃくちゃカッコいいです。中でも、M-11のジョージ・ハリスンさん(George Harrison)の極上カヴァー(Give Me Love)は必聴モノ。

中ジャケには収録曲のギターコード付き、そこにあいかわらずのドン引きモードのアートワークが加われば、もはや、天下とったり。

と、まぁ強力プッシュなノリで書いてきましたが、とても心地よい気分にさせてくれるアルバムです。アコースティックで、自由で、ちょっぴりスウィート・アンド・ビターなモンチさんの歌声は歓びに満ちあふれています。

ギターをボロンと弾きながら、あまくてやわらかいポルトガル語で、こっそり歌いたくなります。

Duke Pearson

このアルバム(1968年9月11日録音)、「できすぎ」です。

ジャケットのアートワークしかり、参加メンバーの構成しかり、もちろん、収録された楽曲も。

本作のリーダーは、デューク・ピアソンさん(p, Duke Pearson)。ピアソンさんのキャリアのなかでも後期の作品にあたる本アルバム『the phantom』は、個人名義のアルバムとしての金字塔であるだけでなく、ジャズ史のなかでも異彩を放っています。

ピアソンさんを指して、「ブルーノートの理性」と勝手に命名しているのですが、フルートやヴァイブ、コンガなどをフィーチャーした異色の編成にもかかわらず、奇をてらうことなく、知性と野生を両立させる腕前はさすがの一言。

なかでも、10分超の大作、タイトル曲の『the phantom』の太くて真っ黒な音にはシビれます。
中低音の効いたベースのリフを聴いていると、「気がつけば、彼岸の彼方」なんていう気分にさせられます。

計算されたいやらしさもなく、余裕しゃくしゃくで、それぞれのメンバーの情熱とエキゾチックな感性を引き出し、ほどよくブレンドさせる力量には敬服します。

ちなみに、初リリースから約35年の時を経て、再発された際のラーナーノーツのなかでも、「このアルバムは、どこを切っても、パーフェクトだ」と評されています(Scott Morrowさん)。

脳ミソがお疲れ気味の方。
『the phantom』は、ピアソンさんでしか配合できない濃度や有効成分を含んだ、効き目の高い処方剤です。

Nina Simone

上映時間3時間の奇才デイヴィット・リンチさん(David Lynch)の最新作『インランド・エンパイア(INLAND EMPIRE)』は極秘で撮影がすすめられた、実に5年ぶりの作品です。
ファンとしてはずいぶんと待たされましたが、実際に映画を観た方にとって評価がわかれる、というのが正直なところ。

リンチ作品の常連、ローラ・ダーンさん(Laura Dern)さんが隣人の怪しい老女にコーヒーをすすめ、その老女が呪いをかけたかの如く悪夢世界に突入する…
現実と虚構の世界が交錯し、ダウナー系のドラッグでもやって、バッドトリップしているような感覚におそわれます。

全編を通じて、そのようなトーンなので、さすがに3時間はツライ。

でも、最後に「救い」がありました。
エンディングを飾る、10分22秒の大作、故ニーナ・シモンさん(Nina Simone)の「sinnerman」は最高にクール!

この曲がおさめられているオリジナル・アルバムが、写真の『Pastel Blues』です。
あまたあるシモン(シモーヌと読む説もあります)さんの作品の中でも、両性具有的なヴォーカルにグイグイと引き込まれるこのアルバムは、衝撃的にカッコイイです。

ヤバイ!