Bruno Munari

数年前に出版されたステキな本を一冊ご紹介。
故ブルーノ・ムナーリさん(Bruno Munari)の名著『ファンタジア』です。
ムナーリさんの言葉『進展とは、物事がシンプルになる瞬間で、複雑になる瞬間ではない』に込められた思いを蘇らせたような真っ白な美しい装丁をほどこした印象的な本。出版元はみすず書房さん(みずす書房さんの装丁はいつ見ても美しいですね)。ブルーノさんの著作は、あまり日本に紹介されていない(あるいは絶版)のが現状で、彼の作品の背景にあるものを知りたい人にとっては、もどかしいことになっていましたが、そういう意味で、今回の『ファンタジア』の出版は、みすず書房さんのファインプレイです。
『ファンタジア』とはムナーリさんの造語で、創造力、発明、想像力といった人間本来の能力にもうひとつの「力」の存在を認め、その「力」を「ファンタジア」と名付けたものです。図版たっぷりの、楽しく読める一冊です。どういう発想で、どういうプロセスで作品が形作られていくのかをテキストと図版の見事な連係プレイで提示しています。これを読むとぐんぐんとクリエイティビティが湧いてくるような気がします。
子供の感受性を大人になっても維持し表現していく人って、芸術的な探求心と理論的な発想力を兼ね備えているんですね。ムナーリさんの作品や著作を見るとそのことがよくわかります。
『芸術を理解するときの最大の障害は、「分かりたい」という欲求である』。これもブルーノ・ムナーリさんの言葉です。シンプルですが奥深い言葉ですね。こんな鋭い視点をもったムナーリさんが、茶目っ気たっぷりに語る書物、それが『ファンタジア』です。
(参考:FUJITA DESIGN Lab., Bruno Munari Lab.)


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