Naoya Hatakeyama

以前、私の好きな女性写真家さんの名前をあげましたが、かたや男性写真家さんとして真っ先にあげたいひとりに畠山直哉さんという方がいらっしゃいます。
今からさかのぼること10年ほど前、偶然出会った畠山さんの処女作『LIME WORKS』には、これまでにない衝撃を受けました。
日本国内に散在する石灰石鉱山と、石灰工場及びセメント工場の姿をとらえた写真集です。
無機的な蒼い風景からこぼれるオレンジ色の明かりのコントラストが冴え冴えしい美しさを醸し出していました。ハマリました。
同年の「第22回木村伊兵衛写真賞」受賞の知らせを耳にしたときには、「あぁ、あの時の自分の選球眼は正しかったんだ」とちょっと嬉しくなりました。今では稀少本で、amazon.co.jpのマーケットプレイスでも30,000円を超える高値がついています。
畠山さんは、その後も、日本各地を回り石灰石鉱山の現場や石灰工場、発破(はっぱ)の瞬間、または都会の建築群や地下水路など、多様な光景を被写体に写真活動をつづけます。
これらの作品は都市の原料(石灰岩、工場)から都市風景(高所から見た都市の俯瞰)、都市の解体(住宅展示場と化した大阪球場とその解体)、都市の裏側(ビルの間を流れる渋谷川や、都市の地下水路の内部)など、一貫して都市の問題にかかわっています。
2006年、タカ・イシイギャラリー(www.takaishiigallery.com)さんから、畠山さんの最新作品集『A BIRD BLAST#130』が出版されました。
石灰石鉱山の発破の瞬間を、カメラを遠隔操作することによってとらえた「人工の衝撃」。ダイナミックな構図のはるか向こうに空高く飛び交う、その存在さえもあやうい一羽の「鳥の影」。見事です。
限定1,000部。


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