Paul Virilio

現代の最先端をゆく思想家のひとり、ポール・ヴィリリオさん(Paul Virilio)。1932年パリ生まれ。都市計画家としての顔も持つヴィリリオさんですが、1960年代に建築家クロード・パランさん(Claude Parent)とともに「斜めの都市」という面白いセオリーを提唱していました。要約すると、都市は元からある土地を持ち上げられたという意味で傾いた存在であり、人間の働きが空間の役割を決定し、それが傾斜した建築に現れるというものです。(参考:『アーキラボ:建築・都市・アートの新たな実験展 1950-2005』森美術館)

このような理論が生まれた背景には、当時の建築が「内部」と「外部」に分断しすぎていたことに端を発しており、ヴィリリオさんたちはそのような状況に抵抗を試みたのでした。で、具体的にはどうしたかというと、「不均衡」というコンセプトを持ち出して、「oblique(斜め)」の空間を作り出し、それによって「内部」と「外部」との間に「動き」を促す新しい空間をデザインしようとしたわけです。

少ないながらも、パランさんとともに「斜め」論を実践した作品もあり、「サント・ベルナデット・デュ・バンレ教会」はその好例といえるでしょう。

ヴィリリオさんたちが証明したように、「斜め」という概念はそれ自体の中にとても深淵な宇宙を内包しており、建築家の方々のためだけにとどめておくのはとてももったいないお話しですね。もっと身近なところで「斜め」を愉しみましょう。


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