今夜は瀧口修造を読まなければいけないと思った。その必然性がどこからやってきたのか定かではないが、この偉大な超現実主義の詩人の言葉に自らをさらすことが必要だと思われたのである。
先日、実家に帰省した際に購入した『瀧口修造の詩的実験 1927-1937』が傍らにあったので、その中から詩を数編読んだ。夜もだいぶふけてきたとき、こんな詩が目に留まった。
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ランプの中の噴水、噴水の中の仔牛、仔牛の中の噴水、噴水の中のランプ
私は寝床の中で奇妙な昆虫の軌跡を追っていた
そして瞼の近くで深い記憶の淵に落ち込んだ
忘れ難い顔のような
眞珠母の地獄の中へ
私は手をかざしさえすればいい
小鳥は歌い出しさえすればいい
地下には澄んだ水が流れている
卵形の車輪は
遠い森の紫の小筐に眠っていた
夢は小石の中に隠れた
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この詩の標題は『睡魔』である。瀧口さんの「夢の記述」の試みのひとつとみていいだろうか。純粋なポエジイがキラキラしている。
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