エッセイストで翻訳家の岡本太郎さんがこんなことを書いていた。
『ブラジル・ポルトガル語はあまくてやわらかい。
そしてちょっとねばっこい。キャラメルみたいだ。
もしかするとキャラメル・フレイバーのコーヒーかもしれない。(中略)おまけにしなやかだ。
アフリカの草原に棲む大型や中型のネコたちのようによくしなる。』
(ユリイカ 2003年2月号)
カエターノ・ヴェローゾの歌声を聴いていると、まさにこの表現があてはまる。
おかげで、ひとつの日課ができた。
夜、眠る前に彼の声をしっとりと聴くのである。
風呂上がりに部屋の電気をすべて消す。
小さなボリュームでカエターノのポルトガル語に耳を傾ける。
アルコールも煙草もいらない。
ただ床にゴロンと寝て、わずかばかりの睡眠薬とともにゆらりゆらりと眠りに落ちる。
「あまくてやわらかい」眠りに落ちる。
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