友人のオススメで久しぶりに映画館に足を運びました。
『その名にちなんで』。
異国に来て子供を育てるのに精一杯の親の世代と、アメリカで育ったアメリカ人でありながらも自分のルーツやアイデンティティを模索しなければならない子供たち。
そんな親子がわかりあえなくなったり、分かりあえたり。
「移民がアメリカで苦労しつつも頑張る系ドラマ」といってしまったらちょっと軽率かもしれませんが、シーンのひとつひとつがジーンとくる映画です。
たとえ移民でなくとも、「自分とは?」という問いにぶつかった方であれば、きっと目頭があつくなるはず。
安易なセンチメンタリズムで終わらないところは、原作や脚本、さらには監督によるストーリー・テリングの骨格がしっかりしているからなのでしょう。
処女作『停電の夜に』でピュリッツアー賞を獲得し、華々しく文壇にデビューしたジュンパ・ラヒリさん(Jhumpa Lahiri)による原作。
そして、デビュー作『サラーム・ボンベイ!』でカンヌ映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)に輝いた元女優の実力派監督、ミーラー・ナーイルさん(Mira Nair)。
もうひとり、ニティン・ソーニーさん(Nitin Sawhney)によるサウンドトラックも秀逸です。
アコースティック・ギターのやさしい調べにシタールやサーランギー、サントゥール、バンスリといったインド古典楽器の伸びやかで艶やかな音色が重なったスコアは、ヒーリング・ミュージック的な心地よさを醸し出しています。
インド音楽というと『ムトゥ 踊るマハラジャ』などのシュールでド派手なイメージが強いかもしれませんが、観る者の心にそっと語りかけてくるようなニティン・ソーニーさんの音楽は、どちらかというと瞑想で心のやすらぎを得るヨガの世界観に近いテイストを持っているように感じられます。
あっ、キャスティングもいいですよ。
ていうか、全部いいです。
そして、思いました。
持つべきものは友人だ、と。
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