The Dragons – BFI

業界では、「37年目の奇跡」と呼ばれているU.K.発、ソフト・サイケロックな話題作、『The Dragons – BFI』です。
レア・グルーヴ全開の’69年の音源。実に、37年ぶりのリリースです。
散在してしまったマスターテープ。その道では有名な、DJ Foodさんが、をあらゆる手を尽くして、ファクトリーを巡り(プロ根性フルスロットルです!)、ついに世紀をまたいで蘇ったというわけです。

レーベルは、NINJA TUNE。
COLDCUT主宰のU.K.老舗レーベルです。
もはやお家芸とも言えるブレイク・ビーツ、エレクトロ、クラブ・ジャズ、そして世界中のVJ達に影響を与えてきた映像部門など、クラブ・シーンには欠かせないアーティスト、マスターピースサウンドを世に送りだしている、こちらも話題のレーベル。
最近では、傘下のヒップホップ・レーベルBIG DADAが話題を呼んだり、オーガニックな感触のアーティストも増えるなど、多岐に渡るジャンルを飲み込む複合体レーベルとして今なお進化し続ける要注目レーベルです。

さて、ふたたび『The Dragons – BFI』。
70年代アメリカ西海岸出身のドラゴン・ブラザースがその母体。父親が指揮者、母親がオペラ歌手という音楽一家に生まれ、ザ・ビートルズ(The Beatles)、ジミ・ヘンドリックスさん(Jimi Hendrix)、ザ・ドアーズ(The Doors)に魅了され、後にザ・ビーチボーイズ(The Beach Boys)のバックバンドを勤めた経歴も持つふたり。
その後、サイケデリック / ロックの道を歩み出すものの、当時はレコード会社に見向きもされませんでした。

DJ Foodさん、ありがとう。
『The Dragons – BFI』におさめられている『Food for my Soul』。この楽曲がDJ Foodさんとドラゴン・ブラザースが出会うきっかけとなりました。
ドラゴン・ブラザースの弟のデニス・ドラゴンさん(Dennis Dragon)がプロデュースした、サーフ・フィルムのサウンドトラックとして使われていたのを、これも運命でしょうか、DJ Foodさんが耳にし、惚れ込んだのが事のはじまりです。

37年前はまったく相手にされず、マスターテープを放り投げてしまったデニス・ドラゴンさんですが、今の時代に残っていてよかった。
『The Dragons – BFI』のライナーノーツの中で、(自戒を込めて)自ら、こんな言葉で締めくくっています。

There’s a lesson here to be learned…
Don’t throw your old master tapes away!
Dennis Dragon, Spring 2007

日本的な美学からすれば、美しい引き際もそれはそれでいいのかもしれませんが、自分の才能をあきらめないことも「いつか、何かある!」、そんな語りかけてくれるエキサイティングなアルバムです。

P.S.
アルバムタイトルに添えられている「BFI」とは、Blue Forces Intelligence の頭文字からきているとか。デニス・ドラゴンさん曰く、「特に意味はない」とのことですが、全編を通して聴くと、ソフト・サイケ・ロックのMIX感覚と「BFI」に込められたメッセージが気持ちいいほど絶妙にシンクロしています。


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