Horace Silver

小林径さんによるブルーノート・ミックスをはじめ、クラブジャズ系のコンピでも取り上げられることの多いピアニスト、ホレス・シルバーさん(Horace Silver)の65年作名盤『The Cape Verdean Blues』です。

ピアノの強いバッキングも印象的なタイトル曲M-1や、うねるリズムに勇壮なホーンが冴えるハードバップM-4「NUTVILLE」あたりはいわゆる「踊れるカンジ」のナンバーです。

ジャケットの構図が、以前ご紹介したデューク・ピアソンさん(Duke Pearson)名義の金字塔『the phantom』に似ているのは気のせいでしょうか(笑)。

Peter Doig

英国生まれのペインターのピーター・ドイグさん(Peter Doig)。

過日行われた、あのサザビーズ(Sotheby’s)で「White Canoe」という作品がなんと、予想額の6倍の5,730,000ポンド(当時のレートで約13億6000万円)で落札され、リヴィング・アーティスト(現在生きている作家)の過去最高額を塗り替えてしまった、なんともたいそうな作家さんなのです。

1959年、スコットランド、エジンバラ生まれ。

94年にターナー賞にノミネートされるなど、現在イギリスを中心に高い人気を誇っている新しい世代の画家さんです。

自然と人間の関わりというトラディショナルなテーマを扱いながらも、しかし非常に幅の広い表現を得意としており、ときに18世紀の風景画家クロード・ロランさん(Claude Lorrain)を想起させるペインティングを描くかと思えば、またあるときは新聞の切り抜き写真やポストカード、映画からのワンシーンなどを引用しながらミクスチャーなスタイルを用いたりと、多彩ぶりを発揮しています。

白による「抜き」が彼らしい。

まだら、しみ、反発、ちらちらする汚れのレイヤーのオプティカルな効果が、深くて目の前の景色になる…。

うわさには聞いてましたが、実際に画集を眺めてみると、その感覚がよくわかります。

サザビーズで落札はできませんが、この画集『WORKS ON PAPER』なら手が届きます。

しかし、本物を観たいなぁ…。

13億6000万円。

Nils Dardel

D&DEPARTMENT(ケンメイさんの主宰するデザインプロジェクトの一環です)発。
このフォトフレーム、いいです。

とても気に入ってます。

小学校の机(懐かしいですね)のリサイクル。

いろんな生徒さんがこの机で勉強したんでしょう。

ところどころにキズがあったり、ひびが入っていたり。

でも、それがいいんです。

手にしたときから愛着が湧いてきます。

とてもいい買い物をさせていただきました。

ありがとう、D&DEPARTMENTさん。

今回、フォトフレームに収めさせていただいたのは、タブロイド誌ほどの大きさの雑誌『ACNE PAPER』からの切り抜き。
後期印象派のスウェーデン人画家、ニルス・ダーデルさん(Nils Dardel)のセルフポートレイトです。
時代を経ても、決して失われることのない両者の瑞々しさに、ココロも潤います。

Minnie Riperton

誰もが一度は耳にしたことがある名曲「Lovin’ You」。

過去にノーマン・コナーズさん(Norman Connors)やジュリア・フォーダムさん(Julia Fordham)などもカヴァーしていますが、日本国内で爆発的に知られるようになったのは1991年に国内のみで発表されたUKレゲエのベテラン歌手ジャネット・ケイさん(Janet Kay)の功績によるところが大きいかもしれません。

これを機に、日本のPOPシンガーもこぞってカヴァーしましたね。
平井堅さん、本田美奈子さん、アン・ルイスさん、MISIAさん等々。

前置きが長くなりましたが、この「Lovin’ You」の御家本元、正真正銘のオリジナルがミニー・リパートンさん(Minnie Riperton)なのです。

いまは天上の人となってしまいましたが、彼女のアンソロジー『Les Fleurs : The Minnie Riperton Anthorogy』は、ソロデビュー前に在籍していた「ロータリー・コネクション」(E.W&Fの元になったグループとも言われています)の時代の曲からスティーヴィー・ワンダーさん(Stevie Wonder)のプロデュースによる「Lovin’ You」(元々は、アルバム『パーフェクト・エンジェル』』に収録されているもの)まで捨て曲なし!

オリジナルならではのプリミティヴな楽曲。

フリーソウル / ヒップホップ世代には俄然おすすめの一枚です!

Gustav Mahler

たまには、いいでしょ?!

クラシックのジャケ買い。

グスタフ・マーラーさん(Gustav Mahler)、交響曲第五番。

レナード・バーンスタインさん(Leonard Bernstein)指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック(New York Philharmonic)。

’63年録音の定番ですよね。

第一楽章の「葬送行進曲」は、タイトルから受ける印象とはほど遠い、温和な死のイマージュに毎回、耽溺しています。

Gil Scott-Heron

まだ若かりし頃、クラブで聴いて「この人誰だろう?かっこいいな」と思って、探求していったらこのアルバム『FARE WILL』にたどり着きました。

パーカッションとフルートのシンプルな演奏をバックに詩を朗読。

メッセージ性の強い詞以上に、サウンドの骨太さが好きなんです。

いまさらながらですが、やっぱりオススメ、ギル・スコット=ヘロンさん(Gil Scott-Heron)。

Helmut Newton

女性の顔・身体へのフェティッシュなこだわりを貫いた独自のエロティシズム表現で知られる写真家、ヘルムート・ニュートンさん(Helmut Newton)。

豊富なインタビューと作品紹介で、写真界、モード界に大きな足跡を残したニュートンさんの素顔に迫るドキュメンタリー『HELMUT NEWTON – FRAMES FROM THE EDGE』です。

「ヴォーグ」から「ヴァニティ・フェア」といったモード誌から「プレイボーイ」のグラビアまで幅広いメディアで一世を風靡。

ニュートンさんが初めてヌードを撮影した際にモデルをつとめた女優、シャーロット・ランプリングさん(Charlotte Rampling)へのインタビューは見所です。大女優は、演技だけでなく、自ら発する言葉も雄弁であることが如実に分かる貴重な映像です。

カトリーヌ・ドヌーヴさん(Catherine Deneuve)の、スクリーンでは見せない「素」の表情に、ご本人さんもご満悦の撮影秘話もユニークな構成となっています。

ニュートンさんが、なぜイギリス嫌いなのか、なぜプールを撮影の舞台として好むのか、イマジネーション豊かな個性・創作活動の背景が明快に伝わる、ひとりの写真家のアート・ドキュメンタリーです。

R指定(かな?)。

 

Donny Hathaway

「天才シンガー」ダニー・ハサウェイさん(Donny Hathaway)の記念すべきファースト・アルバム『Everything Is Everything』です。

ダニー・ハサウェイさんといえば、『LIVE!』があまりにも有名ですが、このアルバムも伝説的な大名盤です。

ソウルという、アメリカ黒人社会の核ともなる生活の音を、ひとつにくくってしまうのも無謀かもしれませんが、それでも、ハサウェイさんは、70年代ソウルに確固とした自信を与え、スリリングに展開させた最重要人物です。

マーヴィン・ゲイさん(Marvin Gaye)の『What’s Going On』も、スティーヴィー・ワンダーさん(Stevie Wonder)の『 Talking Book』も、カーティス・メイフィールドさん(Curtis Mayfield)の『Back to the World』も、まだこの世に現れていない時代、『Everything Is Everything』は、まさに、ブラック・コンテンポラリーの根源的作品といえます。

ソウルの未来を切り拓こうとする意欲がみなぎるサウンド。

ポジティヴなリリックスが明るい希望を与えてくれる、聴く度に、毎回ワクワクしてくる作品です。

P.S.
某CDショップのスタッフさんに聞いたこぼれ話しをひとつ。
まだ、若かりし頃のキャロル・キングさん(Carole King)が、「このアーティストさんはいい!」と周囲にさかんに吹聴していたのが、件のダニー・ハサウェイさん。
この遍路のような歩みが実を結び、後の『ライター』や『つづれおり』といった大ヒットを生み出したのだとか。
人生、何があるかわからないですね!

Frida Kahlo

フリーダ・カーロさん(Frida Kahlo)。

20世紀前半、モダンアートと急進的な政治の前半において国際的なセンセーションを起こしたメキシコを代表する画家です。

フリーダ・カーロさんの人生は肉体の苦痛との闘いで、6歳の頃に小児麻痺のため右足が不自由になったうえ、17歳で、下校中にバス事故に遭い、脊椎、骨盤、右足の骨折という重症を負いました。

病床で絵を学び、彼女自身をテーマに描いた作品は、アンドレ・ブルトンさん(Andre Breton)らの絶賛を受け、シュールレアリスムにも大きな影響を与えました。

ディエゴ・リベラさん(Diego Rivera)との二度の結婚や、レオン・トロツキーさん(Leon Trotsky)やイサム・ノグチさんとの奔放な恋愛もまた直感的、情熱的なもので、彼女の人物像、作品へさらに強烈な印象を残しました。

激動の人生を送ったフリーダ・カーロさんのフィルム。

ディエゴ・リベラさんとの制作風景をはじめとする本人が映し出された貴重なアーカイヴ映像、教え子などの関係者や研究家のインタビュー、そして豊富な作品資料をもとに構成されています。

病床でも決して絵筆を捨てることのなかった彼女の劇的な47歳の生涯の足跡を辿るアート・ドキュメンタリーです。

East Berlin

先日、「全国ジャズ喫茶必需品」としてご紹介させていただいたロルフ・キューンさん(Rolf Kuhn)の幻の名作『SOLARIUS』の翌々年に録音された『East Berlin 1966』をもとに、東ヨーロッパにおけるジャズ事情について、もう少し深く掘り下げてみたいと思います。

すでにベルリンの壁が崩壊して20年近い時が経ちますが、この時代に生きた人々、とりわけ東ヨーロッパのミュージシャンにとって、この5年前の1961年につくられた壁は、自分たちの不自由をいまさらながら象徴するものだったにちがいありません。

この時代のヨーロッパのジャズは、冷戦時代であったにもかかわらず、意外にも東西の交流が行われていました。ジャズが虐げられた人々の音楽というイメージが作用したのかもしれませんが、資本主義の盟主アメリカの代表的な文化であったにも関わらず、東ヨーロッパでは寛容であったようです。

たとえば、この冷戦下に国際ジャズ連盟という世界組織がつくられ、その本部はウィーンにありました。ジャズ・ミュージシャンもたくさん訪問し、東西のミュージシャンの交流もさかんに行われていたと聞きます。

むろん、それだけで、共産主義体制の国々で、ジャズが盛んであったとは言えません。ロルフ・キューンさんの弟、ヨアヒム・キューンさん(Joachim Kuhn)の回想によれば、東ドイツで初めての公式なジャズ・クラブがポツダム市でオープンしたのが、この前年の1965年で、それまでミュージシャンは、ダンス音楽などを演奏しながら生きていたといいます。

たくさんのジャズ・ミュージシャンはいましたが、それだけで生活はできなかったのが実情のようです。どうしてもジャズをやりたかったキューン兄弟は、よりジャズが盛んなポーランドやチェコスロバキアに行くしか道はありませんでした。

そういった交流が東ヨーロッパにはあったのです。そして、その交流を通して、ジャズは東ヨーロッパの中で静かに沸騰し、ジャズ・ミュージシャンのレベルの高さを生み出していきました。

「鉄のカーテン」の向こう側、冷たい世界だからこそ、ジャズは人々の音楽の心を燃やしたのだと思います。

このような背景を振り返りながら、ロルフ・キューンさん達の音に耳を傾けると、「静かに沸騰」する高邁な精神性を少なからずたぐりよせることができるのではないかと思います。
(参考:『East Berlin 1966』ライナーノーツ)