KLIMA

二年前の春。エレポップユニットGinger Aleとして活躍し、Piano Magicにも参加するAngele David-Guillouさんがソロ名義、KLIMAとしてファースト・アルバムをリリースしました。
とにかく一度聴いたら耳から離れない彼女のヴェルベット・ヴォイスは素晴らしいの一言です。
彼女の歌声に合わせるかのうように作られた心地よいビート、浮遊感漂う電子音、はかないアコースティック・サウンドが絡み合ってできた世界は、この上ない美しさ!
中でもオーケストラが印象的な#9、アコースティックで聴かせる#11は特にオススメ。
彼女がつむぎ出す、はかなくも美しい魅惑の音世界に存分に酔いしれてください。
MUST LISTEN!

Millie Vernon

朝日新聞にこんなコラムが掲載されました(2007年3月7日付)。

米国の女性ジャズ歌手、ミリー・ヴァーノンのアルバム「イントロデューシング」が7日、脚本家の故・向田邦子さんの愛聴盤として、雑誌やテレビで紹介されてきたが、長く入手困難だった一枚だ。
エッセー集「眠る盃(さかずき)」に収められた一文にバーノンの名が登場する。水ようかんを食べる時のムードミュージックは何がいいかと自問し、このアルバムの3曲目「スプリング・イズ・ヒア」が一番合うように思う、と書いている。
56年の録音。向田さんが所有していたのは、74年に出た日本盤で現在、かごしま近代文学館に収蔵されている。
99年に一度CD化されたが、すぐに市場から消え、ネットオークションで高値がついていた。
「冷たいような甘いような、けだるいような、なまぬくいような」と向田さんが表現するその歌声は、クリス・コナーにも似ている。トランペットのルビー・ブラフ、ピアノのデイブ・マッケンナ、ギターのジミー・レイニーらの演奏も小気味がいい。
水ようかんに合うかどうかはともかく、ホッと一息つきたい時にはぴったりの作品だ。

私もようやくこのアルバムを手に入れました(写真)。ビリー・ホリデイを彷彿とさせるグルーミーな唄声が魅力です(しかも美人)。
向田邦子さんのフェイバリッツ「スプリング・イズ・ヒア」。不肖、私の拙訳にしたがえば、「春が来たけれど心は弾まない。恋人がいないから…」と憂鬱な雰囲気を情感たっぷりに唄っています。
地味だけれども、なぜか心に滲みる…。
さっそく、iPodに入れました(水ようかんはないけれど)。

Shihori Kanjiya

ちょっと地味な趣味ですが、私の朝の日課は、NHKさんの「連続テレビ小説」を観ることから始まります。庶民感覚がたまらなくジンとくるんですよね。
以前、数ヶ月間入院していた時期がありまして、ベッドの上での生活と重なるように、ちょうどオンエアーされていた『ちゅらさん』の状況設定とダブる部分があったりして、以来、先の「連続テレビ小説」のファンになりました。
『ちゅらさん』の出演をきっかけに、たくさんの若手俳優さんや芸人さんがその人気に火がついていったのも、みなさまもご承知のとおりですね。
国仲涼子さんをはじめ、小西真奈美さん、山田孝之さん、ゴリさん+川田広樹さん(ガレッジセール)、ベッキーさん等々、枚挙にいとまがありません。
また、平良とみさん、堺正章さん、田中好子さん、村田雄浩さん、余貴美子さん、菅野美穂さん、数え上げればきりがないほど、みなさんの見事な役者ぶりに多いに心躍らされました。脚本はもちろんのこと、新人さんからベテランさんまで、隙のないキャスティングはTVドラマのひとつのマイルストーンではないかと思います。
さて、10月1日にスタートする『ちりとてちん』のヒロインが先日発表されました。1864人の応募者から選ばれたのは、女優の貫地谷(かんじや)しほりさん。オーディションを受けたのは3度目だったとのこと。努力家さんなんですね。
将来、大物になるでしょう。きっと。
私が初めて貫地谷さんの存在を知ったのは、映画『スウィング・ガールズ』(www.swinggirls.jp)で。楽器未経験者がほとんどの女優さんたちが、撮影と並行しながら楽器をマスター・演奏していくという思い切ったキャスティング。その中で、貫地谷さんに与えられたのはトランペット。個別レッスンの先生からは「唇のかたちがトランペットに向いていない」と半ば引導を渡されたような中でやり通しました。やっぱり、努力家さんなんですね。スクリーンの中でもキャラが立ってました。

映画の公開後、こんなコメントを寄せています。
「この作品は自分にとって大きな作品です。
今までの自分の考え方を払拭したんですから。
私はこの作品で、やれば何でも出来るんだということを学びました。
どこかで、やっても報われないなら最初からやらない方がいいと思ってたんですよね。
大きな大きな勘違いでした。
トランペットなんて触った事もなければ吹いたことも全く無かったのに、あんな素敵な形で結果に残せた事が本当に嬉しいです。」

そんな貫地谷さんのモットーは「楽しく」。
努力家さんと「楽しく」の一言。
いいですね、この組み合わせ。

Edgar “Jones” Jones

90年代初頭に唯一のアルバムを残したU.K.のインディー・ロック・バンド、The Stairsに在籍し、ポール・ウェラーさん(Paul Weller)のバックバンドでベーシストも務めたEdgar Summertimeことエドガー・”ジョーンズ”・ジョーンズさん(Edgar “Jones” Jones)。
「ミック・ジャガーばりの黒いヴォーカル」と形容されるエドガーさん。リズム&ブルース、モッズ、ジャズ、ノーザン・ソウル、ガレージ・ブルース・ロック、60′sガールグループサウンド、ニューオリンズ・ファンク、などなどあらゆる要素が盛り込まれた音は、「カッコいいシチュー」のようです。
そんなエドガーさんが、2006年初頭に、突如(13年ぶりです!)リリースしたアルバムが『Soothing Music For Stray Cats』。
デビュー当時から60年代の雰囲気プンプンの作品をリリースしていたエドガーさんですが、本作でもモノラル録音にこだわり、先のジャンルを横断するサウンド・メイキングは、自らの嗜好をよりはっきりと示した仕上がりです。
冒頭を飾る#1のモダンな味わい、スライ&ザ・ファミリー・ストーン(Sly & The Family Stone)を思わせるファンク・サウンドが踊る#5、ブルージーな#13など、どこを切っても趣(おもむき)深いテイストがたまりません。
以下、各方面からの絶賛コメントです。
「本日開店。爆裂シェフの気まぐれロック。不定休。」© 甲本ヒロトさん
「ぶっとんだぜ。俺がこれまでに聴いた中で最高の一枚!」© ノエル・ギャラガーさん
「これはびっくり。何も知らずに聴かせられれば60年代の本格派モッズ・バンドかと勘違いするかもしれません。」 © ピーター・バラカンさん

あれから四つの季節がめぐりましたが、飽くことなき、ヘヴィーローテの一枚です。

Sebastien Tellier

いわずと知れたAirの主宰するレーベル、フランスのRECORD MAKERSに所属し、ソフィア・コッポラさん監督作『ロスト・イン・トランスレーション(Lost In Translation)』のサントラへの参加で注目されたパリの奇才、セバスチャン・テリエさん(Sebastien Tellier)。
いま最も影響力のあるといわれているジャイルス・ピーターソンさん(Gilles Peterson)や最先端で活動を続けるフランソワ・Kさん(Francois K.)など大御所DJも魅了した#2「LA RITOURNELLE」は、数多くのコンピに収録され、ダンス・サイドからも高く評価されている名曲です。
ピアノとヴォーカルで聴かせるストイックかつストレートな楽曲は、独自の美意識をヒシヒシと感じさせる内省音楽といった趣き。
不意に心の隙間に入り込んでくるようなメロウネスに浸ってしまう、美しくもはかないアルバムです。オススメ。
★ ★ ★ ★ ★

GABBY & LOPEZ

ナチュラル・カラミティー(Natural Calamity)の森俊二さんとTICAの石井マサユキさんによるギターデュオ、ギャビー & ロペス(GABBY & LOPEZ)。
先行12インチで井上薫さんの鮮やかなリミックスと共に、心にしみる楽曲を届けてくれた彼らが待望のセカンド・アルバム『NICKY’S DREAM』をリリースしました。
サーフミュージック・サイドからの注目も高まる中、前作よりもメロディーやグルーヴが強化された美しいギター・チルは、ゆるめのダンスサイドからも高評価デス。
とっても美しい気持ちになれるメロウ & トリッピーな極上ギター・グルーヴにして、至福のオーガニック・ジャム・サウンド。
ココロにカラダに、大きなやすらぎをもたらしてくれるはず。
石井マサユキさんご本人も、自身のブログ(www.mining-for-gold.com)で「自分の作品なのに、全然飽きないです!」と語っているのが納得の充実ぶりです。
ジャケットのアートワークも秀逸。

Lyle Ritz

高木ブーさんのウクレレもナイスですが、ウクレレソロを志す方にはマストバイのニューアルバム『NO FRILLS』です。
スタジオ・ミュージシャン、主にベーシストとして活躍した後、ウクレレで素晴らしいジャズ作品を発表してきたライル・リッツさん(Lyle Ritz)の最新録音。50年代後半にヴァーヴ・レーベルからリリースした作品が高評価を得たものの、90年代初めに惜しまれつつも現役を引退。
そんなライルさん、ハワイで隠遁生活を送っていましたが、本作『NO FRILLS』で見事カムバックを果たしました。タイトルが物語るとおり「気取らない」スタイルはライルさんの真骨頂。
スウィンギーで優しいウクレレの音色とやわらかいベースのみで構成されたシンプル極まりないプレイで、ジャズ / ポップスのスタンダード・ナンバーを極上カヴァー。誰もが一度は耳にしたことのあるアントニオ・カルロス・ジョビンさん(Antonio Carlos Jobim)の名曲「Felicidade(邦題:悲しみよさようなら)」のイントロからホロロンと聴かせてくれます。
ピースフルな楽曲で「こゝろ © 夏目漱石さん」穏やかに。

Lisa Larson

すでに後塵(こうじん)を拝した感がありますが、スウェーデンの女性陶芸作家のリサ・ラーソンさん(Lisa Larson)ブームの再燃にいまさらながら合い乗ることになりました。
どうやら、日本とアメリカで相当なコレクターさんがいらっしゃるようで、60年代のアンティークものが過熱する一方、90年代に入ってからは復刻品も生産され、その人気に拍車がかかっています。
信楽焼のような質感で素朴な表情とユーモラスなデザインで独特の世界をかもし出しています。私のデスクに置かれた「ブルドッグ」。がんばってアンティークを買いました。仕事柄キンチョー感にしばられがちですが、そんなとき、ブルドッグの「ゆる〜い」オーラはココロを和ませてくれます。「目の中へ入れても痛くない」とはまさにこのことですね。
この手のものは、一度手にすると、コレクター魂に火がつくもの。リサ・ラーソンさんの一番の代表作は「ライオン」というのが定説ですが、コレに手を出すときっと勢いが止まりそうにないので、たったひとつの「ブルドッグ」を愛でたいと思います。

Kenny Rankin

『Silver Morning』、『Like A Seed』といた名盤を残し、いまなお活動をつづけるベテラン・シンガーソングライター(SSW)/ギタリスト、ケニー・ランキンさん(Kenny Rankin)。そんな彼が、ニューヨークの名門ライヴハウス「The Bottom Line」で90年に行ったライヴ盤『ENCORE COLLECTION』は、SSW好きにはたまらない好盤です。
アン・サリーさん(Ann Sally)もカバーした名曲「Peaceful」などのオリジナルはもちろん、ローラ・ニーロさん(Laura Niro)からザ・ビートルズ(The Beatles)と続くカヴァーメドレーは感涙もの。
ジョアン・ジルベルトさん(Joan Gilberto)からスティビー・ワンダーさん(Stevie Wonder)へと流れる#12に鳥肌し、ザ・ビートルズの#16で再び、涙、涙。
ジャズ・ボサノヴァ・フィーリングなAORを鮮やかなアコギとヴォーカルで披露した極上のアコースティック・ライヴ。
一日の終わり、疲れたココロに「聴くクスリ」です。

Norihide Ogurusu

高橋幸宏さんと細野晴臣さんによるスケッチ・ショウのフロントアクト、デヴィッド・シルビアンさん(元ジャパン)の来日パーティでのライブ、近頃とみに絶好調ぶりが際立つ松尾スズキさん監督作品『恋の門』サントラへの楽曲提供など、各界の偉人のみなさんから既に大評判の小栗栖憲英(おぐるすのりひで)さん、待望の新作デス!
陽気なピアノが快い#3、心が惹かれるたおやかなフォークソング#7、クラシカルな旋律に安らぐ#9、現地ミュージシャンと吹き込んだストックホルム讃歌#10など、ポール・マッカートニーさんからの影響を感じさせるメロディと優しさあふれる柔らかな歌声は、まるで名作映画のよう。
どこか懐かしく、忘れかけていた風景を思い起こさせてくれる大名盤です。
アルバムタイトル『good morning』。
(c) BEAMS RECORDS
★ ★ ★ ★ ★