Al Taylor

極めて多元的で雑多なコンテンポラリー・アートの潮流。

もはや、「芸術」を「具象」と「抽象」といった具合に、分類化(二分化)することは無意味なことかもしれません。

それでもなお、制作の現場で具象に反発した傾向をもった作品、あるい反対に、フランシス・ベーコンさん(Francis Bacon)に代表されるように、抽象に反発しつづけた作家さんもいるわけで、「芸術」の根源には、現状に対する不満あるいは疑問といったものがあるのではないかと思います。

そのような意味で、サイ・トゥオンブリーさん(Cy Twombly)は、ゲージュツ然とした「ペインティング」を、あたかも先祖返りのごとく「ドローイング」に対してあらためて人々の眼を向けさせたという点で、大きな功績を残した作家さんといえるでしょう。

一見、落書きのような作品群ですが、近寄ってみると「ここまで!」と驚くほど緻密な描写がなされています。恐らく、通常のオフセット印刷では再現できないほどの「線」のポイエティーク。

そんなサイ・トゥオンブリーさんと同時代に生きた、もうひとりの「ドローイング」作家さんがいます。

アル・テイラーさん(Al Taylor)がそのひと。夭折の画家。

彫刻のフィールドでも作品を残した方ですが、「面」あるいは「ボリューム」で構成された立体ではなく、あくまで、「線」をエレメントとした彫刻です。

サイ・トゥオンブリーさんの作品は、ときとして挑発的でとげとげしくもありますが、アル・テイラーさんのそれは、やさしい詩のような、穏やかで瞑想的アプローチが光ります。

「ドローイング」と「彫刻」がバランスよく配置された作品集、『Drawings / Zeichnungen』がオススメ。

ちなみに、同作品集の出版社が Hatje Cantz であることも、アル・テイラーさんの作品が鉄板であることを奇しくも証明したかたちとなっています。

Constantin Brancusi

今から遡ること25年。
20世紀の抽象彫刻に決定的な影響を与えたコンスタンティン・ブランクーシさん(Constantin Brancusi)の生前のアトリエ風景をまとめた写真集です。
没後25周年のアニバーサリー・イヤーである1982年にフランス・ポンピドゥーセンターから出版された書籍です。

有機的・抽象的彫刻作品を制作したブランクーシさんのアトリエ風景。
濃淡の美しいグラビア印刷で刷られた、ブランクーシさんの作品の持つ静謐(せいひつ)な雰囲気を捉えた構成が見事です。
ご本人さんのポートレートだけでなく、フェルナン・レジェさん(Fernand Leger)の姿も写っていたり、作品の制作過程が収められていたり、とても100年前の出来事とは思えないほど、精緻でダイナミックな空気がビシビシと伝わってきます。

アトリエ風景といえば、先日ご紹介したマン・レイさん(Man Ray)の写真集もなかなかですが、実は、このふたり、お互いを認め合う親友同士だったんですね。
彫刻家であるブランクーシさんが写真に熱中したり、写真家であるマン・レイさんが彫刻にのめり込んだり、異なる領域をクロスオーバーする当時のアーティストさんの相関図は非常に興味深い逸話です。

昨日ご紹介したリュシアン・エルヴェさん(Lucien Herve)もそうですが、パリのレジスタンス以降のモダニズムの現場、キュビズムから離陸し、太い輪郭線と単純なフォルム、明快な色彩から構成された作家さんの潮流にいま熱い視線を送っています。

Lisa Larson

すでに後塵(こうじん)を拝した感がありますが、スウェーデンの女性陶芸作家のリサ・ラーソンさん(Lisa Larson)ブームの再燃にいまさらながら合い乗ることになりました。
どうやら、日本とアメリカで相当なコレクターさんがいらっしゃるようで、60年代のアンティークものが過熱する一方、90年代に入ってからは復刻品も生産され、その人気に拍車がかかっています。
信楽焼のような質感で素朴な表情とユーモラスなデザインで独特の世界をかもし出しています。私のデスクに置かれた「ブルドッグ」。がんばってアンティークを買いました。仕事柄キンチョー感にしばられがちですが、そんなとき、ブルドッグの「ゆる〜い」オーラはココロを和ませてくれます。「目の中へ入れても痛くない」とはまさにこのことですね。
この手のものは、一度手にすると、コレクター魂に火がつくもの。リサ・ラーソンさんの一番の代表作は「ライオン」というのが定説ですが、コレに手を出すときっと勢いが止まりそうにないので、たったひとつの「ブルドッグ」を愛でたいと思います。

A Dog in Bruxelles

ブリュッセルのデザイナー集団、「atelierA1」へ向かう路地の一画でのひとコマ。

ブリュッセルといえば、「小便小僧」はあまりにも有名ですね。

一方、「トリビアの泉」でも紹介された、同じくブリュッセルの「小便少女」もじわじわとその知名度をあげていますが、「小便犬」もそれに負けじと争う構えでなのしょうか。

ちなみに「小便小僧」の身長は53cm。知名度の大きさに反比例してあまりの小ささに「世界三大がっかり」のひとつに数えられていますが、「小便犬」は実寸大です。