COLOMBIA! The Golden Age

某CDショップのバイヤーさんから強力PUSHされた一枚『COLOMBIA! The golden age of Discos Fuentes, the Powerhouse of Colombian music』(写真)。
UKの曲者(くせもの)リイシュー・レーベルSOUND WAY(www.soundwayrecords.com)から、『WAXPOETICS』誌でぶち抜き特集が組まれた70′sコロンビアのブラック~ラテン・ミュージックにフォーカスした素晴らしいコロンビア音楽コンピです。
おそらくほとんどが世界初公開となる楽曲ばかりで構成されており、コンパイラーの執念がこもった一枚です。
個性的かつ濃い(!)セレクションで、ワールド・ミュージック好きはもちろん、雑多な音楽を愛する若いリスナーにもアピールする作品をリリースしているSOUNDWAYによるコロンビア音楽コンピレーション!まさに、SOUNDWAYの真骨頂ここにありき、といた充実の内容です。
コロンビアのDiscos Fuenteというレーベルの60-76年までの音源からセレクトされた楽曲は、クンビア、ルンバはもちろん、ラテン・ジャズやファンキーなものまで収録。
コロンビアの古い音楽はこれまで耳にする機会が少なかったんですが、今回まとめて聴いてあらためてカッコよさを知りました。これは素晴らしい。
詳細な解説とジャケ写満載のブックレットつき。数多くのミス・ユニバース級セニョリータを輩出しているお国柄か、超グラマラスな水着美女満載のジャケット集は家宝もの?!
彼らにダンサブルで熱い音楽を愛するすべてのラテン音楽ファンにオススメです。

さて、コロンビアの都市カリ(別名:「サルサの都」)に住むレコード・コレクターさんやディーラーさんの逸話をひとつ。
彼らは、現地音楽に対する造詣が非常に深く、探しているレコードを見つけるのが容易か困難か即座に教えてくれます。「”エル・セ・コンシグエ” を聴きたいのか、それならすぐに見つかるよ」といった具合に。
一方で、ただ笑いながら、「ケ・ヴァ・オンブレ」(そりゃ無理だ)と言われることも。つづけて出てくる言葉がなんとも…。
「そのレコードを持っている連中なら、LPを渡すくらいなら女を譲る方がいいと思っているよ」。

P.S.
コロンビアのレコードは、美しい厚みがあり、40年経ってもなお良質な音を聴かせる耐久性をもってプレスされています。コロンビアの「特産品」といっても差し支えないでしょう。ラテン音楽の中でも最高の音質がここにあります。

Webster Lewis

黒い!とてつもなく黒いっ!
幻的な一枚、ウェブスター・ルイスさん(Webster Lewis)の『The club7 live tapes』。ノルウェー・オスロの名門クラブ、club7でのライヴ音源です(’71年録音)。
本国のみのリリースだったアルバムがやっと手に入りました(www.jazzaggression.com/webster)。
当時、このライヴを見た、とある精神科医の尽力によってリリースされた奇跡的な一枚。
マイルス・デイヴィスさん(Miles Davis)さんの革命的アルバム『Bitches Brew』が、エレクトリックな「黒」だとすれば、『The club7 live tapes』はゴスペルの「黒」。
どこまでも黒く、どこまでもカッコイイですっ!

Tisziji Munoz

ソニック・ユースでも活躍するシカゴの即興ギタリスト、ジム・オルークさん(Jim O’Rourke)は、自身のアルバム『ユリイカ』(99年)のジャケットに友沢ミミヨさんを起用、くるりのプロデュースを手掛けるなど、日本のとの関わりが何かと深い方です。
特にジャズ・ミュージシャン、坂田明さんとの共演をきっかけに日本語も勉強し、現在ではメールのやりとりも半分は日本語でこなしているそうです。
その坂田さんとの共演ライヴ盤『およばれ/テトロドトキシン』収録曲のタイトル、「こんだて」「きんべん」「かばん」「こうもりがさ の しゅうぜん」は、そのメールの中で使われていた言葉とのこと。どんなメールなのか、気になりますね?
そんな親日家ぶりが高じて、とうとう日本在住を決めてしまいました(2006年夏)。本人弁によれば、「音楽活動を停止して東京へ移転、映像を勉強」ということになっておりますが、やはり音楽活動は大切なライフワークなのでしょう、「社会人」というレーベルを立ち上げ(なんとも人を食ったネーミングですね)、あいかわらず絶好調ぶりを発揮しているジム・オルークさんなのです。
スウェーデンのシンガー、スティーナ・ノルデンスタムさん(Stina Nordenstam)の熱狂的なファンとしても知られ、自らノルデンスタムさんをプロデュースしたいと何度か申し出ているようですが、ことごとく断られているようです(笑)。
一方で、手練のギタリスト、ティシージ・ムニョスさん(Tisziji Munoz)とは蜜月関係にあるようで、先の「社会人」レーベルからムニョスさんの新作がリリースされました。アルバムタイトル、『LOVE ALWAYS – SPIRIT OF THE ANCIENT MASTERS』。
このティシージ・ムニョスさんという人は、事故がもとで手首の神経を損傷したハンディキャッパーなんですね。ギタリストにとっては致命的とも思われるアクシデントです。
でも、ムニョスさんはくじけませんでした。
今では「ギターのジョン・コルトレーン(John Cortlane)」と称されるほどの独自の音世界をつくりあげ、神にもっとも近い現役ギタリストのひとりです。
1946年生まれ。御年60歳のヴェテランですが、スピリチュアルで、クリエイティブなサウンドは、リスナーのみならず、世界中のプレイヤーを魅了し続けています。
手首のハンディ。
ワンノートしか弾けないという、彼の演奏スタイルと音楽性は、日々の生活に埋没した何かをふつふつと蘇らせてくれます。

GABBY & LOPEZ

ナチュラル・カラミティー(Natural Calamity)の森俊二さんとTICAの石井マサユキさんによるギターデュオ、ギャビー & ロペス(GABBY & LOPEZ)。
先行12インチで井上薫さんの鮮やかなリミックスと共に、心にしみる楽曲を届けてくれた彼らが待望のセカンド・アルバム『NICKY’S DREAM』をリリースしました。
サーフミュージック・サイドからの注目も高まる中、前作よりもメロディーやグルーヴが強化された美しいギター・チルは、ゆるめのダンスサイドからも高評価デス。
とっても美しい気持ちになれるメロウ & トリッピーな極上ギター・グルーヴにして、至福のオーガニック・ジャム・サウンド。
ココロにカラダに、大きなやすらぎをもたらしてくれるはず。
石井マサユキさんご本人も、自身のブログ(www.mining-for-gold.com)で「自分の作品なのに、全然飽きないです!」と語っているのが納得の充実ぶりです。
ジャケットのアートワークも秀逸。

Norihide Ogurusu

高橋幸宏さんと細野晴臣さんによるスケッチ・ショウのフロントアクト、デヴィッド・シルビアンさん(元ジャパン)の来日パーティでのライブ、近頃とみに絶好調ぶりが際立つ松尾スズキさん監督作品『恋の門』サントラへの楽曲提供など、各界の偉人のみなさんから既に大評判の小栗栖憲英(おぐるすのりひで)さん、待望の新作デス!
陽気なピアノが快い#3、心が惹かれるたおやかなフォークソング#7、クラシカルな旋律に安らぐ#9、現地ミュージシャンと吹き込んだストックホルム讃歌#10など、ポール・マッカートニーさんからの影響を感じさせるメロディと優しさあふれる柔らかな歌声は、まるで名作映画のよう。
どこか懐かしく、忘れかけていた風景を思い起こさせてくれる大名盤です。
アルバムタイトル『good morning』。
(c) BEAMS RECORDS
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A Dog in Bruxelles

ブリュッセルのデザイナー集団、「atelierA1」へ向かう路地の一画でのひとコマ。

ブリュッセルといえば、「小便小僧」はあまりにも有名ですね。

一方、「トリビアの泉」でも紹介された、同じくブリュッセルの「小便少女」もじわじわとその知名度をあげていますが、「小便犬」もそれに負けじと争う構えでなのしょうか。

ちなみに「小便小僧」の身長は53cm。知名度の大きさに反比例してあまりの小ささに「世界三大がっかり」のひとつに数えられていますが、「小便犬」は実寸大です。

theo

その昔、コンサート会場の設営のアルバイトをしていた時代がありまして、今の仕事(ギリギリ「IT系」の職業にはいるでしょうか)とは対極にあるフィジカルワーク、いわゆるガテン系の仕事です。アルバイトとはいえギョーカイのしきたりがすっかり浸透しておりまして、年の差などどこ吹く風、一日でも早くそのアルバイトを始めた人がエラいわけです。
そんな仕事も数年つづけていると、鳶(とび)のお兄さんたちとイントレ(これ、一種の業界用語で照明やスピーカーを設置するための鉄骨のやぐらみたいなものです)を組み上げていく現場作業から離れ、楽屋まわりのケータリングやアーティストさん(現場では「本人さん」という呼び方が一般的です)を駅からホールまでお連れする「にわかSP」のような仕事が主体になってきます。
余談ですが、「本人さん」をホールまでお付き添いすることを「ウケ」というのに対し、コンサート終了後、「本人さん」を帰りの車両まで安全に(追っかけサンがいらっしゃいますので…)お導きすることを「ニガシ」といいます。
そんな仕事をしていると、ブラウン管(もう死語かも…)の向こう側にいるスターの皆々様にお近づきになれる、ちょっとドリーミーな気分になったような錯覚に陥ることもなくはないです、はい。
それでも、「本人さん」からしてみればカースト制度の最下層にいる「バイトくん」にすぎず、私の場合は決まって「メガネくん」と呼ばれていました。ツアースタッフさんを含め他のバイトくんを見渡すと、圧倒的にメガネ着用率が低いんですね。気がつけばメガネをしているのは私だけという状況が当たり前でした。
そんな修業時代にピリオドを打ち、「メガネくん」は新しいメガネ探しの旅に出たわけです。メガネを身につけたことがある方であれば誰もが経験されると思うのですが、メガネ選びというのは気恥ずかしい気分になるというか、ちょっとおよび腰になるんですね。「ボクには無理かも」「ワタシはそこまで踏み込めないわ」等々。ご多分にもれず私もそんなひとりでした。
ところがどうしても気になるメガネがあったんですね。Theo(テオ)というベルギーのブランドです。こればかりは他の人にゆずれないという衝動を起こさせるほど強烈な出会いでした。
そして今ではすっかりTheoコレクターになってしまいました。ちなみに今宵は「bernhard」というコードネームのTheoを身につけています。いいですよ、Theo。
もしも、「メガネくん」と呼ばれても、今ならプライドは傷つかないです、だぶん。

Cowboy Kate

今をときめくファッションイラストレーター、アートディレクターのエド・ツワキさん(Ed TSUWAKI)。とあるインタビューで次のように述べています。

『イギリスのフォトグラファー、サム・ハスキンスの代表作「COWBOY KATE」。この本に出会う前からCOWGIRLというものは、僕にとって作品のモチーフとしては大きなイコンだった。そして、今も。時計のデザインをするにあたって、ときを告げるミューズとしてCOOLなカウガールは唯一無比の存在だった』

アーティスト自身から発せられたインスピレーションの源を示唆するメッセージ。とりわけ、「COWBOY KATE」という一冊の写真集は、長い間、「幻」の作品として伝説の存在でした。およそ40年前に出版されたまま絶版の状況にあったのです。

しかし、アーティストが時代を裏切らないように、名作というものにはいつか時代が共鳴してくれるものです。今冬、「COWBOY KATE」がディレクターズカット版として復刊されました(写真)。

粗い粒子とモノクロームの世界。レンズの向こうでヌードになった女性のポートレイトは、単なる性表現を超えた文字通り「ミューズ」の姿そのものです。芸術という一連のプロセスの中で、エドさんがインスパイアされ、そこで起こったであろう「実践というポイエティーク」の領域に少しばかり接近できたような気がします。

Bernard Fort

光、音、物質、文字といった側面は、それぞれ専門家の関心を集める一方で、私たちの日々の生活の中では、あたりまえと考えられがちな些細な出来事として、省みられる機会を失いつつあります。しかし、この「あたりまえ」は、本当にあたりまえなのでしょうか?日々経験している出来事との出会いには、思いがけない驚きがあるかもしれません。

このほんの少しの「思いがけない」驚きがある場所。それは、出来事の成り立ち自体に関わる偶然性とも言えますし、また、その出来事との出会い、つまり経験における偶然性とも言えるでしょう。

(川崎市民ミュージアム「偶然の振れ幅 – 出来事の成り立ちを記述する美術」より引用)

「思いがけない」驚きの一片。そんなフラジャイルな体験を日々の生活に持ち込んでくれる大切なものとして、「フィールドレコーディング」という領域は、私にとって欠かせない存在です。中でも、フランス人アーティスト、Bernard Fortさんの手による『Compositions Ornithologiques』は愛聴盤のひとつです。カナダのケベック州で録音された野鳥の鳴き声は、「この場所にいること」、「まっすぐ立つこと」、「遠くを見ること」といったごくありふれた日常の行為を再認識させてくれます。「詩・ポエトリー」には読むたびに新しい気付きがあるように、Bernard Fortさんのアルバムにおさめられた音源は、聴くたびに自然界との新しい関係性を私たちにもたらしてくれます。

Kora Jazz Trio

『いまジャズで最も面白いのがワールド・ミュージックの要素を取り入れたものだと、以前から感じていたのですが、アフリカ人独自の発想によるジャズがこのグループで新たに誕生。前作から大きく前進したこの新作は愛聴盤です。』
ピーター・バラカン

ピーター・バラカンさんにこう言わせしめたのは、オール・ネイティブ・アフリカンのトリオ、「KORA JAZZ TRIO」の2枚目のアルバム『PART TWO』です。
ピアノとパーカッションによるジャズ・サウンドに、西アフリカ伝統の弦楽器(コラ)のキラリと光る音色を乗せた、シンプルながら斬新な演奏を聴かせるジャズ・トリオ。
60分を超える長尺ながら、一向に飽きさせないサウンドは久々に私を満足させてくれました。ピーター・バラカンさんのサウンドに対する選球眼は私の好みに非常に良く合います。今回も見事にそれを証明してくれました。
私にとってもこのアルバムは愛聴盤になりそうです。
ピーター・バラカンさん、ありがとう。