Bernard Fort

光、音、物質、文字といった側面は、それぞれ専門家の関心を集める一方で、私たちの日々の生活の中では、あたりまえと考えられがちな些細な出来事として、省みられる機会を失いつつあります。しかし、この「あたりまえ」は、本当にあたりまえなのでしょうか?日々経験している出来事との出会いには、思いがけない驚きがあるかもしれません。

このほんの少しの「思いがけない」驚きがある場所。それは、出来事の成り立ち自体に関わる偶然性とも言えますし、また、その出来事との出会い、つまり経験における偶然性とも言えるでしょう。

(川崎市民ミュージアム「偶然の振れ幅 – 出来事の成り立ちを記述する美術」より引用)

「思いがけない」驚きの一片。そんなフラジャイルな体験を日々の生活に持ち込んでくれる大切なものとして、「フィールドレコーディング」という領域は、私にとって欠かせない存在です。中でも、フランス人アーティスト、Bernard Fortさんの手による『Compositions Ornithologiques』は愛聴盤のひとつです。カナダのケベック州で録音された野鳥の鳴き声は、「この場所にいること」、「まっすぐ立つこと」、「遠くを見ること」といったごくありふれた日常の行為を再認識させてくれます。「詩・ポエトリー」には読むたびに新しい気付きがあるように、Bernard Fortさんのアルバムにおさめられた音源は、聴くたびに自然界との新しい関係性を私たちにもたらしてくれます。


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