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その昔、コンサート会場の設営のアルバイトをしていた時代がありまして、今の仕事(ギリギリ「IT系」の職業にはいるでしょうか)とは対極にあるフィジカルワーク、いわゆるガテン系の仕事です。アルバイトとはいえギョーカイのしきたりがすっかり浸透しておりまして、年の差などどこ吹く風、一日でも早くそのアルバイトを始めた人がエラいわけです。
そんな仕事も数年つづけていると、鳶(とび)のお兄さんたちとイントレ(これ、一種の業界用語で照明やスピーカーを設置するための鉄骨のやぐらみたいなものです)を組み上げていく現場作業から離れ、楽屋まわりのケータリングやアーティストさん(現場では「本人さん」という呼び方が一般的です)を駅からホールまでお連れする「にわかSP」のような仕事が主体になってきます。
余談ですが、「本人さん」をホールまでお付き添いすることを「ウケ」というのに対し、コンサート終了後、「本人さん」を帰りの車両まで安全に(追っかけサンがいらっしゃいますので…)お導きすることを「ニガシ」といいます。
そんな仕事をしていると、ブラウン管(もう死語かも…)の向こう側にいるスターの皆々様にお近づきになれる、ちょっとドリーミーな気分になったような錯覚に陥ることもなくはないです、はい。
それでも、「本人さん」からしてみればカースト制度の最下層にいる「バイトくん」にすぎず、私の場合は決まって「メガネくん」と呼ばれていました。ツアースタッフさんを含め他のバイトくんを見渡すと、圧倒的にメガネ着用率が低いんですね。気がつけばメガネをしているのは私だけという状況が当たり前でした。
そんな修業時代にピリオドを打ち、「メガネくん」は新しいメガネ探しの旅に出たわけです。メガネを身につけたことがある方であれば誰もが経験されると思うのですが、メガネ選びというのは気恥ずかしい気分になるというか、ちょっとおよび腰になるんですね。「ボクには無理かも」「ワタシはそこまで踏み込めないわ」等々。ご多分にもれず私もそんなひとりでした。
ところがどうしても気になるメガネがあったんですね。Theo(テオ)というベルギーのブランドです。こればかりは他の人にゆずれないという衝動を起こさせるほど強烈な出会いでした。
そして今ではすっかりTheoコレクターになってしまいました。ちなみに今宵は「bernhard」というコードネームのTheoを身につけています。いいですよ、Theo。
もしも、「メガネくん」と呼ばれても、今ならプライドは傷つかないです、だぶん。


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