Jin’ichi Uekusa

今、読んでいる本に面白いエッセーがあったのでそのまま転載しておこう。
タイトルは「ギュスタブ・エッフェルの逸話」。

エッフェル塔が美しいか醜いかという議論は、ほぼ20年ごとにむし返されるといい、このエピソードを集めた面白い記事が、サタデー・イブニング・ポスト誌8月11日・18日号にのった。
よく引用される笑い話だが、毎日かかさずエッフェル塔にあがり、その料理店で食事をすると、チップをはずんで降りていく金持の紳士がいるので、ある日ボーイが『毎度ありがとう存じますが、毎日おいでになるというのは』と口をすべらせたところ、『こいつを見ないで食事できる店は、ここにしかないからだ』といわれた。
おなじようなエッフェル塔ぎらいの有名人に、デューマ、ユイスマンス、ヴェルレーヌ、ランボー、マラルメがいたが、ひいき筋には、アポリネール、ユトリロ、デュフィのほか、コクトー、ルネ・クレールがいる。
こんな話からギュスタブ・エッフェルの一生へはいっていくが、ニューヨークの入口にある「自由の女神」の骨組設計も彼がやったのであって、死ぬまえに『エッフェル塔だけしか思い出してくれないのか』といったそうだが、ほかにもあまり知られていない話が、いくつも出てくる。

植草甚一スクラップブック『アンクルJの雑学百科』114p-115p、晶文社


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