Hope Sandoval

気分が沈んでいるとき、カタルシスを求めてダウナーな音楽を聴くか、片や対照的にポップな音楽で自らを高揚させるか、人によって大きく分かれるところだろう。
私の場合、メランコリックな気分に陥ったときはほぼ前者の行動をとる。
しかしこのような行動パターンはいまの病気に端を発しているわけではない。
メランコリックな状態にあることが単純に好きなのだ。
要するに、私は自己愛人間であり、ナルシストということになる。
このような習性は厄介だけれども持って生まれた性分だからいかんともし難い。
おまけに執着心が強いときているから、周囲からしてもまったくもって疎ましい存在にちがいない。

さて、自分の性格ばかり並びたてても面白くないので、ここはひとつ最近聞いたお気に入りのアルバムをひとつ挙げておくことにしよう。
アーティスト:ホープ・サンドヴァル(Hope Sandoval & The Warm Inventions)。
アルバムタイトル:バヴァリアン・フルーツ・ブレッド(Bavarian Fruit Bread)。
この中の一曲『On the Low』が映画『sprout』のサントラに使われていたのを見つけて、このアルバムに辿り着いたという次第である。その曲のヴォーカルとメロディーからアルバム全体の構成をダウナーなものと勝手に想像していたのだけれど、その予想をはるかに上回る内容だった。
冒頭に、「ダウナーかポップか」という大雑把なくくりをしたけれど、そんな自分がちょっと恥ずかしくなった。というのも、このアルバムはダウナーであるばかりでなく、ポップの要素も多分に盛り込まれ、それがちょうどいい具合にミックスされている。
両者は同根のニ輪の花であることを見事に証明してくれた。
ゲストも多彩で、私の愛するレーベル、ルーネ・グラモフォン(rune grammofon)からアルバムをリリースしているノルウェーのトランペッター、アルヴェ・ヘンリクセン(arve henriksen)の参加をはじめ、トラッド・フォーク/音響/テクノ系前衛ジャズなどのミュージシャンが集結している。
ライナーノーツによれば、ホープ・サンドヴァルはオスロに自身のスタジオを所有しているらしい。そんなロケーションの効果もこのアルバムには表れているはずだ。
久しぶりにおいしいアルバムを手に入れた。


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