Mousier Hulot

以前勤めていた会社の上司であるIさんの自邸にお邪魔した。
私が新入社員としてIさんの所属する課に配属されて以来、懇切丁寧に接してくれた心良い上司である。
そんなIさんとは同じ企業人でありながらも、仕事とは離れたところでもどこか同じ嗅覚をもった存在であると感じていたけれど、今回10数年ぶりに再会して、そのことを再認識した。
ふたりの間に通底する感覚。

要約すればこんな感じだろうか。
「男が年をとってゆく上で二つの生き方のうち、どちらかを選ばなくてはいけない。
ひとつは一般的、父親としての生き方。
社会性を保ちながら権威的オヤジとしての象徴だ。
そしてもうひとつが、伯父的生き方。独身者(バチェラー)として生きるそのメンタリティーは、ある種の趣味性に支えられる。
ある種の美意識。ある種の甘えと言ってもいいが、彼等はそのこだわりを増幅させながら、例え、結婚して子を持ったとしても書斎の隅で、あくまでも伯父であり続けようとするのだ。
女性から見てその様は目も当てられない。
「いい年して、そんなグダラナイこと止めなさいヨ」に決まっているのだ。
けれど、彼等からその伯父的部分を奪ってしまったら、すべてのバランスは崩れ、死んでしまう…」
(GAZETTE4『mondo music」アスペクト)

おなじ「伯父的生き方」を選びながらも、Iさんのメンタリティーにはとてもかなわない。
ジャック・タチの映画『ぼくの伯父さん』にたとえれば、Iさんはユロ伯父さんであり、私などは年端もいかない少年ジェラールといったところか。
Iさん、また遊びに行きます。


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